3D特殊効果が映画界で採用され始めてから、今までは難しかった空撮や戦闘シーンをより迫力のある映像でリアルに再現することが可能になりました。その結果、たくさんのスーパーヒーロー作品が実写映画化され、世界的に大ヒットを記録しています。ここでは、スーパーヒーロー映画の人気のひみつを、発祥の地アメリカと日本とで比べてみました。
多くのスーパーヒーローが誕生するアメリカ
DCコミックスとマーベルが提供するスーパーヒーロー作品は、主に大人が主人公です。人々にピンチが訪れると電話ボックス内でスーツ姿から変身してスーパーマンになったり、白衣姿の物理学者が負の感情によって巨人ハルクになったりと、ヒーローの「日常」は様々です。アメリカの社会問題や環境問題、政治や外交の課題を反映して創り出されたストーリー背景も特徴です。ダークな悪の組織に、正義の味方がパワーで勝利するのがアメコミの鉄板ですが、最近ではバッドマンシリーズで人気の悪役・ジョーカーが主人公の映画が公開され、アカデミー賞で主演男優賞を受賞するなど、スーパーヒーローのとらえ方も変化してきました。マーベルが誇るアベンジャーズシリーズ(同一の世界観を共有するマーベル・シネマティック・ユニバース作品)では、登場人物にも時代を反映する多様性を取り入れ、ステレオタイプからの逸脱を目指しています。
弱いティーンが強くなっていく物語が主流のジャパンヒーロー
日本でスーパーヒーロー映画が他国よりもヒットしない理由のひとつに、ヒーローへの共感・仲間意識があります。特にアメコミヒーロー達は成熟した大人がメインで、チームを結成しても個人戦&個人主義が採用されています。一方、日本のヒーロー達を見ると、「鉄腕アトム」や「僕のヒーローアカデミア」、「キャプテン翼」など、時代やジャンルは違ってもその多くが青少年や子供です。日本でヒーローになるには、読者や視聴者からの共感を得ることが第一条件になります。いじめられっ子や弱小チームが強くなっていく過程に、人々は共感したり勇気をもらうからです。現在も続編が公開されると記録的大ヒットになる「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズは、ヒーローの操縦士は中学生、その上司や教官は大人という設定が多くの人を虜にしました。アメコミで日本でも大ヒットになった作品に「スパイダーマン」シリーズがありますが、この作品も主人公のピーターがさえない学生だから、というのも頷けます。
大人気のスクールが舞台のスーパーヒーロー作品
アメリカ&日本のどちらでも大人気になるのが、学校を舞台にしたスーパーヒーロー作品です。「X-MEN」シリーズはプロフェッサーXが校長を務めるミュータント専門学校から個性と才能のあるミュータントヒーロー達が大活躍する作品です。前出した「スパイダーマン」シリーズも、ニューヨークの高校に通うピーターがスパイダーマン及び個人としても成長していく過程を描いています。魔法使いの分類に入りますが、全作品大ヒットした「ハリーポッター」シリーズは、夢のような魔法学校が舞台です。日本ではスポーツ漫画&部活をテーマにした作品も立派なヒーローとして扱われ、高校バスケがブームとなった「スラムダンク」や「テニスの王子様」、実写映画にもなった「バッテリー」など、その種類は数え切れません。これからも続出するであろうアメコミスーパーヒーロー映画が日本で成功するには、学校を舞台にすることがポイントです!