由緒あるベネチア国際映画祭では2017年にVR部門が新設され、ユニークなIT技術を用いたアニメ製作が話題となっています。ここでは、VRを使った新しいアニメの楽しみ方をご紹介します。
そもそもVRって何?
VRは「バーチャルリアリティ」の略で、実物や現実以外のものが、ユーザー(体験者)の五感を刺激することによって本物(オリジナル)と似たような環境を理工学的に作り出す技術およびその体系のことです。3D映画や3Dアトラクションを想像してみてください。実際には物が飛び出したり建物にぶつかりそうにならなくても、特殊映像や特殊カメラ・メガネによって、まるで自分がその世界の中で実際に体験しているかのように感じられる空間がありますよね。その感覚が、広義におけるバーチャルリアリティです。
どんなことに使われているの?
VRの感覚対象は、視覚/聴覚/味覚/嗅覚/前庭感覚/体性感覚など多様ですが、特に多く使われているのが視覚です。例えば、危険な場所での作業を遠隔ロボット操作で応用したり、Googleマップのように360度見渡せる映像をコンピュータ上で再現することに使われています。ゲーム業界でもバーチャルリアリティは注目されており、2016年にオンライン対応も可能なPlayStation VRが登場し、2019年にはNintendo Switchと連動したNintendo Laboが発売されました。
VRを使ったアニメ製作
ではアニメ業界ではどのように採用されているでしょうか?本格的VRアニメとして高い評価を得た作品に、「Crow: The Legend(クロウ:伝説)」があります。製作はVRアニメーション専用のスタジオBaobab Studiosが担当。対応機種はFacebookが買収したことで知名度&注目度が上がったオキュラス社が提供するOculus RiftとOculus Go、Gear VR、PlayStation VRです。オキュラスは最近ケーブルレスのVRヘッドセットOculus Questを発表しています。Googleによって製作された「Pearl」は、VRアイテムがなくてもYouTubeで360度自由に映像を楽しめる新しいタイプのVRアニメーションです。VR作品としては初めてアカデミー賞にもノミネートされました。資金と技術が必要とされるVRアニメは、アメリカのエンターテイメント業界で高い評価と期待を担っています。
日本のVRアニメ事情
アニメ大国日本では、アニメの世界にそのまま入り込んでしまったかのような疑似体験を楽しめるVRコンテンツが人気です。過去3回VR/ARコーナーが設置されている東京ゲームショウでは、今までの最新テクノロジー紹介路線から変更して、もっと気軽にVRを楽しめるブースが増えました。人気ライトノベル「狼と香辛料」はVRで新作アニメを公開し、VRヘッドセットを使ってその世界観を体感しながら新作を楽しめるコーナーを設立しました。「リトルウィッチアカデミア」は、アニメの世界に入ってキャラクター達と一緒にホウキレースを楽しめるVRを紹介。VRを利用してアニメの2次元世界に入り込むという、日本アニメらしいVRの活用法です。